しかし、実際にライブ配信の仕組みを構築し、当日の運用を滞りなく進めるためには、実績ある優れたパートナーのアサインが不可欠だ。そこで同社では、映像パートナーとして長年協業し、マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー 2018(Media & Entertainment アワード)受賞企業でもある株式会社EVC(以下、EVC)に支援を依頼する。
今回特に重要視されたのは、EVCが提供するクラウド型 動画管理・配信プラットフォームサービス「Bizlat on Azure」の存在だった。
技術面を担当した、日本マイクロソフト株式会社パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 クラウドアーキテクト本部 クラウドソリューションアーキテクトの大川高志氏は、「Bizlat on Azureは、映像のライブエンコーディングから配信、さらに視聴者側のプレイヤーに至るまで、ライブ配信に求められる全ての機能を一気通貫で提供する優れたプラットフォームサービスであり、Azureが前提となっている点でも、今回の用途に最適なものであると判断しました」と話す。
基調講演の映像がビデオカメラから届くと、MEDIAEXCEL社HEROライブエンコーダーによってエンコードされ、インターネット経由でMicrosoft Azureへ引き渡される。Bizlat on Azureは、Azure Media Servicesと連携しながら、動画の配信から視聴者の利用帯域などに合わせた映像品質の選択など一連のライブ配信機能をコントロールする。
今回、動画配信のシステムプロデューサーとしての役割を果たしたEVC代表取締役の國分秀樹は、「国内ではEVCのみが提供するHEROライブエンコーダーは、非常に高品質なエンコーダーです。そして大きな特長となるのは、Azureの初期設定ファイルがあらかじめ用意されている点です。正にAzure上でのライブ配信では、最も親和性の高いライブエンコーダーと言えるでしょう」と話す。
直感的な情報把握や管理が可能なBizlat管理ポータル
配信される映像の品質面でもBizlat on Azureの強みが発揮された。
「配信する際、ビットレートが異なる複数のデータを用意し、それぞれの利用者のネットワークの状況に合わせて最適な映像を提供するABR(可変ビットレート)配信を実現しています」(國分)。
室内などネットワークの帯域が十分ある視聴者は、ビットレートの大きな高品質な映像を楽しめ、屋外で移動中等の視聴者は、ネットワーク状況があまり良くない環境でも停止することなく映像を見ることができるなど、視聴環境に合わせ最適化した配信を実現する。
マイクロソフトでは、公開されるイベントWebページから配信の内容が見られるようにしたいという要望もあげていた。木浪氏は、「Bizlatは専用のポータル画面を持っていますが、今回はイベントのページでも同様にライブ映像を表示したい旨をEVC社に伝えました。驚いたのは、お願いするとすぐにイベントWebページへの組込みが完了したことです」と話す。
非常に迅速な対応ができた背景には、Bizlat on Azureが標準提供する”再生用URL”機能の存在があった。「お客様がご自身のWebページにURLを埋込むだけで、映像を該当ページで表示できるようになります」(國分)。さらに同機能により、コンテンツ同時視聴数やユーザープロファイルなど、通常Bizlat管理ポータルに表示される情報も提供することができる。