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「パーソル パ・リーグTV」を支える動画配信システム
「パーソル パ・リーグTV」ライブ配信の裏側に迫る ライブ配信を支えるPLM担当者の奮闘記

「パーソル パ・リーグTV」ライブ配信の裏側に迫る

第2話:試合中編

全5話

5回シリーズでお届けする「『パーソル パ・リーグTV』ライブ配信の裏側に迫る」の2回目は、「試合中編」をお届けする。

今回も、パシフィックリーグマーケティング株式会社 メディア事業本部 メディア事業部 メディアセンター長 兼 事業開発本部 事業開発部の上野友輔氏、メディア事業本部 メディア事業部で動画配信パートを担当する山口麗氏にお話をうかがった。

準備万端の状況で本番の動画配信を開始する、という第1話の「準備編」をご覧頂いた皆様は、試合中は余裕を持った時間が流れていると思われたかも知れない。しかし、試合中のPLMオフィスでは、準備段階にも劣らない程の様々な作業を遂行する担当者による白熱した時間が流れている。

それでは最初に、諸々の作業を進める各担当者の役割について見て行こう。

15名ほどの担当者とその仕事

試合中のPLMオフィスでは、多くの担当者が作業を進めている。

上野氏

動画配信サービス全体の統括管理担当者や、実際にライブ配信が上手く機能しているかチェックを行う現場管理担当者、さらに、球団への映像提供を行ったり、動画アップのチェックをしたりをするなど、この現場管理担当の作業を支援する現場管理担当補佐がいます。

また試合担当者として、イニングVODのコンテンツをチェックしてアップする担当者およびマルチアングルVODの映像に対応する担当者や、今年から加わることになった広告配信の担当者、さらに特集動画や週次の動画コンテンツ向けに編集を行う担当者がいます。

平均すると総勢15名前後になります。

統括管理の立場にある山口氏は、担当作業について次のように話す。

山口氏

自分1人で全てを見るのは不可能なので、私の方は、ライブ等関連する画面を並べて問題がないかの確認をし、並行して各試合担当者があげたコンテンツを、別の担当者がチェックするという形で進めています。

配信本番に臨むPLM担当者達
配信本番に臨むPLM担当者達

ユニークなサービス
イニングVODとマルチアングルVOD

ここで、上記でも記載したパーソル パ・リーグTVならではの、ユニークなサービスについて触れてみたい。

上野氏

試合中に各イニングの映像を編集してアーカイブし、視聴者がすぐ楽しめるコンテンツとして提供しているのがイニングVODです。

2012年にパ・リーグTVがスタートしてから現在に至るまでの試合映像コンテンツが蓄積されています。当初から試合中にアーカイブして、すぐ利用できるようになっています。

またマルチアングルVODは、特定のシーンを複数のアングル、例えば1塁側、3塁側から見ることができるサービスで、こちらの対応も試合中に行っています。

特筆すべきは、上野氏の発言にもあるように、試合が進行している中で、これらの対応が行われている点だ。このためイニングVODについて言えば、視聴者は、1回表のイニングの映像を1回裏の段階ですぐに見ることができる。同様に、マルチアングルVODについては、視聴者自らが好きなアングルを指定して映像を楽しむことができる。通常の野球放送とは一線を画すパーソル パ・リーグTVの優位点と言えるだろう。

イニングVOD・マルチアングルVODデータチェック画面
イニングVOD・マルチアングルVODデータチェック画面

ファーム(2軍)の試合も網羅
パーソル パ・リーグTVならではの提供サービス

もう1つの “パーソル パ・リーグTVならでは” の提供サービスと言えるのは、1軍だけでなくファームの試合も網羅している点だろう。

上野氏は、

上野氏

私達はパ・リーグチーム主催の2軍戦の配信も取り扱っているので、これから1軍に上がってきそうな有望選手の映像を見ることができます。

また逆に1軍で調子を落とし、現状は2軍にいて調整中の選手を見ることもできます。

さらに、2軍の場合にはセ・リーグとの対戦もありますので、もしセ・リーグ側に注目の選手がいる場合には、その選手の映像も楽しむことができますし、セ・リーグチームのファンの方にもお楽しみいただけます。

と強調する。

実は、ほとんどの2軍の球場は、映像コンテンツをPLMの配信環境まで移送するための回線は存在しない。このためパーソル パ・リーグTVは、自前で通信回線や映像転送のための機器などのインフラ全てを提供し、映像コンテンツを作成している。

山口氏は、このようなPLMの対応について、

山口氏

ファンの皆様に喜んでいただけるためには、“そこまでやるの” と言われるほどの対応も辞さない社風と言えますね。

と話す。

今回は、試合中の舞台裏をご紹介したが、いかがだっただろうか?15名前後もの担当者が、一糸乱れぬ連携を図りながらリアルタイムのサービスを展開している様は、実に見ごたえのある状況だった。また、視聴者に喜んでもらえるコンテンツ作りに向け、一切の妥協なく邁進する担当者達の姿勢こそがPLMの社風なようだ。

このように万全の準備の下、動画配信を行っているPLMだが、それでもリアルタイムのサービスには「緊急時」の対応がつきものだ。次回は、このような突発的なトラブル発生とその対応に迫る「緊急時編」をお届けする。

統括管理を担当する山口氏
統括管理を担当する山口氏