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「パーソル パ・リーグTV」を支える動画配信システム
「パーソル パ・リーグTV」ライブ配信の裏側に迫る ライブ配信を支えるPLM担当者の奮闘記

「パーソル パ・リーグTV」ライブ配信の裏側に迫る

第1話:準備編

全5話

5回シリーズでお届けする「『パーソル パ・リーグTV』ライブ配信の裏側に迫る」の第1話となる今回は「準備編」をお届けする。

パシフィックリーグマーケティング株式会社 メディア事業本部 メディア事業部 メディアセンター長 兼 事業開発本部 事業開発部の上野友輔氏、メディア事業本部 メディア事業部で動画配信パートを担当する山口麗氏にお話をうかがった。

それでは、普段は目にすることのない、舞台裏の真実に迫って行こう。

約2時間半前から
開始される準備作業

リアルタイムな配信映像や厳選したアーカイブ映像を提供するパーソル パ・リーグTVでは、安定したサービス提供を実現するための事前準備が非常に重要となる。それでは、毎回どの程度の準備時間が確保されるのだろうか?

上野氏は、

上野氏

だいたい2時間半ぐらい前から準備を開始します。

と話す。

後でご紹介する準備作業の内容を考えると、2時間半前というのは、随分余裕があるように思われるかも知れないが、この準備時間が設定されるようになった背景には明確な理由がある。

上野氏

万が一、トラブルが発生した場合でも、本番が始まるまでに余裕をもってそれを解消し、無事に配信を開始できるようにするためには、2時間半必要ということです。

この時間を使って、きちんと映像が配信され、サイト上で視聴できるかを事前に確認します。

広々としたオフィスには、各担当者のデスクトップのモニターとは別に、大型モニターが壁面に配置され、球場の様子が表示されている。その上に見える球団のロゴマークも相まって、ここが野球の楽しさを伝える動画配信サービスの最前線にあることを改めて実感できる。そんな現場では、リラックスムードで集まった各担当者が、2時間半前からそれぞれの確認作業を開始。そしてこれらの作業は、本番に向け次第に加速して行く。

準備段階のPLMオフィスと壁面の大型モニター
準備段階のPLMオフィスと壁面の大型モニター

最も緊張するのはトラブルの確認

上野氏

やはり、準備段階で一番緊張するのは、トラブルが起きていないかの確認です。

トラブルは大小様々だ。オペレーション上で発生するものから、サーバー側の問題まで各種のトラブルが想定されるが、それが本番の配信に影響を及ぼすことの無いように準備する。

上野氏

たとえばデータセンター側のサーバーの問題であっても、即座にデータセンターとやり取りをして、その内容を特定して解消することができます。

つまり2時間半という準備時間は、仮に問題が起きた場合でも、本番までにそれを解消できる余裕を見込んだものなのです。

もちろんEVC社にも、準備の段階で各種の支援を頂いております。

チェックシートに従って一連の準備作業が進行。
マルチデバイスへの配信についても事前に確認

準備作業はチェックシートに従って進められる。

上野氏

球場から映像の送信が開始されたタイミングで連絡が入ります。

15人前後の担当者がチェックシートに従って、確認作業を進め、配信についても確認を行います。

配信先は、パーソル パ・リーグTVとパ・リーグ.comがあり、さらにPC、スマホ、タブレットなど複数のデバイスに対応するため、計18の配信パターンを確認することになります。

実際に現場に置かれた複数のデバイスは、正に壮観と言える眺めだ。現場を統括する山口氏は、

山口氏

各担当者がそれぞれのチェックを行っていく状況を確認しますが、何事もなく進行しているとほっとします。

と話す。

このように、万全の準備を完了して、リアルタイムの動画配信サービスがスタートする。

マルチデバイス配信の確認用機器
マルチデバイス配信の確認用機器

台湾までエンコーダーを運んで
対応したことも

ここまで、通常の準備作業についてご紹介したが、番外編として、さらに大変な準備作業が必要になった例をご紹介しよう。登場人物は、今回のインタビューでお話をうかがっている上野氏本人だ。

上野氏

2017年、台湾で千葉ロッテが親善試合を行った際の話です。

この試合を日本国内のファンの方々にも見ていただきたい!との想いから、台湾側から許可を貰ったものの、必要な機材は全て日本から持っていかなければなりませんでした。

現地へは私一人で行ったのですが、梱包資材に機材を詰め、台湾まで持っていき、エンコーダーやネットワークの設定をして動画配信を行いました。

体をはって視聴者の皆様に映像をお届けしたという状況でした。

と笑いを交えて話す。

先方の球団からパ・リーグTVのみに与えられた映像だったため、他のメディアが全く扱うことのできない独自のコンテンツ配信となった。

現在はメディアセンター長の立場にある上野氏が、自らエンコーダーと共に現地に向かうことを不思議に感じるかも知れないが、海外ビジネスの担当という立場も兼任する上野氏は、このような海外コンテンツ利用や逆に海外向けのコンテンツに関わる業務も担当しているため、このような対応となった。いずれにしても、視聴者に楽しいコンテンツを提供するためには、できる限りのベストを尽くすというPLMの企業文化を象徴したお話だった。

今回は、普段目にすることができない、動画配信準備の舞台裏をご紹介したが、いかがだっただろうか?多少なりとも現場の臨場感をお伝えできていれば幸いだ。

次回は、本番の配信が行われている最中の舞台裏に迫る「試合中編」をお届けする。